パソコンを見ている男性

男性・女性で症状が異なる性器ヘルペスについて

ヘルペスには、口唇周辺や口腔内に症状が発症する口唇ヘルペスと下半身に症状が発症する性器ヘルペスなどがあり、性器ヘルペスは男性と女性では症状が大きく異なる性感染症です。
この性感染症は、感染から2日~10日程度の感染部位に水ぶくれや潰瘍などの症状を発症しますが、感染患者の70%~80%に自覚症状がないとされ、女性患者の方が自覚症状が少ない事から重症化リスクが高いとされています。
男性の性器ヘルペス患者は、陰茎体部や亀頭などの外部生殖器を中心に太ももや臀部に直径1mm~2mm程度の水ぶくれや潰瘍が発症します。
しかし、患者によっては陰茎体部や亀頭の様に直腸内部にまで水ぶくれや潰瘍が発症する時があります。
男性患者は、性行為などで尿道に侵入した病原ウイルスが尿道で増殖してしまう為に尿道炎を引き起こす場合があります。
透明色~乳白色の非粘着性の膿の排出や耐え難い灼熱感を伴う排尿痛、頻尿などの自覚症状を発症する感染患者もいますが、約50%の男性患者が無症候性の性感染症です。
また、尿道で増殖した病原ウイルスがさらに上行感染し膀胱炎や前立腺炎を発症させ、切迫性の頻尿や排尿困難などの症状が現れます。
さらに放置すると不妊症を誘引する精巣上体炎を発症し激しい下腹部の痛みに苦しむ事になります。
女性の性器ヘルペス患者は、男性と同様に外部生殖器を中心に太ももや臀部に水ぶくれや潰瘍を発症します。
しかし、尿道で病原ウイルスが増殖する男性とは異なり膣や子宮頸管部で増殖してしまう為、オリモノの異常や不正出血などの自覚症状が現れる膣炎や子宮頸管炎を発症します。
女性患者の約80%前後に自覚症状が無い事から重症化する事が多くあります。
また、膣や子宮頸管部で増殖した病原ウイルスが上行感染し卵管炎や卵巣炎を発症します。
卵管は軽度の炎症では痛みや発熱などの自覚症状が無く骨盤内腹膜炎や肝周囲炎を発症し激しい腹痛や腹部膨隆などの症状が現れます。
性器ヘルペスは、病原ウイルスが髄膜に侵入して髄膜炎を引き起こす事も多く、激しい頭痛や意識障害などの症状に苦しめられる危険な性感染症です。

性器ヘルペスに感染したらバルトレックスで治療

性器ヘルペスの治療には、多くの医療機関でバルトレックスやゾビラックスなどのDNAポリメラーゼ阻害薬による薬物療法が行われています。
バルトレックスは、ゾビラックスの主成分アシクロビルに必須アミノ酸のバリンをエステル結合させたバラシクロビルを主成分とする治療薬です。
バラシクロビルは、アミノ酸のバリンを付加した事により小腸上皮細胞に存在するペプチドトランスポーターへの吸収率が飛躍的に向上します。
また、10%~20%だったバイオアベイラビリティを55%まで引き上げ、服用回数が1日5回程度から1日2回まで減らされています。
バルトレックスの作用機序は、服用後主成分のバラシクロビルが肝臓で酵素エステラーゼによりバリンとゾビラックスの主成分アシクロビルに加水分解されます。
アシクロビルは感染細胞内でヘルペスウイルス由来の酵素チミジンキナーゼと細胞性キナーゼにより3回にわたりリン酸化されアシクロビル三リン酸に変換されます。
アシクロビル3リン酸は、ヘルペスウイルスのDNA複製に用いるヌクレオシドの前駆体であるデオキシグアノシン三リン酸と酷似しています。
そのため、酵素DNAポリメラーゼの作用により置換反応が誘引されDNA複製を抑制すると共にヘルペスウイルスの増殖も抑制する効果を有する薬剤代謝物質です。
バルトレックスやゾビラックスは、時間依存性薬物なので濃度依存性薬物に比べて用量が少なく副作用の発生頻度や重症化リスクが低い治療薬です。
しかし、アシクロビルの特性上服用時には注意する必要があります。
アシクロビルは、溶解度を超えると体内で再結晶する特性があり、非常に細い細尿管が集まっている腎臓内で再結晶すると閉塞性尿路疾患から腎不全を発症する事があります。
服用時には出来る限り水分摂取を心掛ける必要があります。